2026年7月に閣議決定された政府の「骨太の方針」に、「オンチェーン金融」の推進が書き込まれた。トークン化預金やステーブルコインによる資金決済を、商流のデータと連動させるという内容だ1。政策の言葉にはなったが、実際に流通しているものはまだ少ない。数字は2026年10月時点のもの。

領域主な取り組み段階規模
ステーブルコイン(資金移動業型)JPYC商用流通約34.6億円
ステーブルコイン(信託型)JPYSC、EJPY、3メガの共同発行口座内のみ/準備中/実証—
トークン化預金DCJPY限定的な商用、銀行間決済は検証中—
セキュリティトークンProgmat、ibet for Fin商用公募の累計約3,333億円
国境を越える決済Project Agorá(日本銀行が参加)、Project Pax(日韓の金融機関が参加)、ST×USDC、SBI×Ondo実証/発表段階—

二種類の円ステーブルコイン

2023年6月の改正資金決済法で、ステーブルコインは「電子決済手段」になった2。資金移動業者が発行する型は1回の送金が100万円までで、信託の仕組みで発行する型にはその上限がない3。銀行も発行できるが、預金として扱われるので、次のトークン化預金にあたる。

資金移動業型では、JPYCが2025年8月に登録を受け、10月27日に発行を始めた4。累計発行額は2026年9月に100億円を超えた5。10月11日時点の流通量は約34.6億円で、Upbit上場後の9月23日の約40.6億円から減った。Polygonが53%、Ethereumが24%、Kaiaが20%、Avalancheが2.8%を占める6。

信託型は2026年6月24日、SBI新生信託銀行のJPYSCで始まった。ただし今は、SBI VCトレードの口座の中でしか使えない3。日本ブロックチェーン基盤のEJPYは、2026年度内の発行を目指す7。三菱UFJ、みずほ、三井住友の3行は、共同で発行したステーブルコインを三菱商事の国際決済に使えるかを検証している。金融庁のFinTech実証実験ハブの支援案件だ8。三井住友銀行は別に、TIS、Ava Labs、Fireblocksと、金融機関どうしの大口の決済に使えるステーブルコインの要件を詰めている2。

ドル建てでは2026年9月、三菱UFJ銀行が欧米などの20社と組み、発行のための新会社をつくると発表した。2027年上期の開始を目指す9。

10月11日時点で、円建ての流通量約34.6億円に対し、ドル建てのUSDCは約731億ドルある10。

トークン化預金の用途

DCPのDCJPYでは、2024年8月にGMOあおぞらネット銀行が発行し、IIJの環境価値の取引で使われ始めた11。2026年3月には、SBI証券や大和証券などがDCJPYでSTの代金を支払った12。8月には地方銀行を中心に43社が加わり、発行する銀行が異なるトークン化預金の間で決済できるかの検証が始まった13。

先行するST

公募STの累計発行額は、2026年3月末で約3,333億円14。Progmatは、自社の基盤にある4,520億円超の案件をAvalancheの専用チェーンに移した15。証券と代金の受け渡しは、国内ST市場、決済オンチェーン化の現在地で書いた。

クロスボーダー決済の実証

日本銀行は、BISのProject Agoráに発足時から加わっている16。2026年7月には、日本円を含む6通貨、28機関が実際の資金で検証した17。

民間では、ProgmatとDatachainがSwiftと組むProject Paxが、2025年9月の第2段階で商工組合中央金庫と韓国の3行を加えた18。SBI証券や大和証券などは、国内のSTを海外との取引時だけEthereumに写し、USDCで決済する構成を試した19。SBIは2026年7月、日本株などをトークンにしてOndoの基盤から海外の投資家へ届ける提携も発表した20。

パブリックチェーン上の円

パブリックチェーンで誰でも使える円は、今のところJPYCの約35億円だけだ。