mETHプロトコルというプロジェクトを覚えているだろうか。
先日、「バリデーター代行に、営業は機能するか」というP2P.orgのステーキングに絡めた記事を書いた際、リキッドステーキングプロトコルにも少し触れた。そのとき思い出したのがmETH Protocolだった。Web3業界では次から次にプロジェクトが登場し、一時は注目されても数年後には誰も話題にしなくなっているケースが珍しくない。存在感のあったプロジェクトの"今"を、たまに振り返ってみるのはおもしろい。今回のケーススタディは、Mantleが手がける「mETH Protocol」と、その中心にいたガバナンストークンCOOKだ。
あの頃
mETH ProtocolはMantleが自ら立ち上げたEthereumのリキッドステーキングプロトコルで、2023年12月にメインネットでローンチした。派手になったのは2024年後半からで、ガバナンストークンCOOKとリステーキング資産cmETHを投入し、「Methamorphosis」と冠したキャンペーンで存在感を高めた。当時のMantleが最も力を入れていたプロダクトのひとつだったのは間違いない。私自身、ローンチ時期にCOOKを自費購入し、cmETHも保有していた。
今の姿
つい先週、久しぶりにそのプロトコルページを開いてみた。cmETHは新規発行を停止し、段階的にフェーズアウトすると案内されていた1。公式の説明によれば、cmETHはローンチ後TVL6.2億ドルまで伸びた主要なLRTのひとつだったが、「セクター動向を精査した結果」撤退が最善と判断したという。EigenLayer報酬の最終分配は2026年6月中旬、請求受付は同年11月7日で締め切られる。
もっとも、Restakeタブに常設されたピンクのDeprecation(減価)バッジを見る限り、「整合」というほど淡白な話でもなさそうだ。バッジがRestake(cmETH)だけでStake(mETH)には付いていないあたり、mETH Protocol全体というより、cmETHという一プロダクトの期待外れを静かに片付けた、というのが実情だろう。
バナーの矢印をクリックすると、公式の説明パネルが開く。
数字にも表れている。COOKは2024年11月8日の高値0.04531ドルから、現在(2026年9月)は0.002005ドルまで約95.6%下落した2。手元のステータス画面(2026年9月18日時点)を見ても、mETHの時価2731.35ドルに対しcmETHは2706.34ドルとわずかに割安で、24時間の値動きもcmETHの方が荒い(+2.52% vs mETH +1.42%)。新規発行停止で供給が減る一方の薄商いの中、ちょっとした売り注文でも価格が振れやすくなっているのかもしれない。
それで、mETHプロトコルを覚えていたか
ここまで読んで、冒頭の問いに戻る。2024年後半、あれだけキャンペーンを重ねて存在感を高めたmETH Protocolは、2026年の今、リステーキングの肝であったcmETHをピンクの小さなバッジひとつで静かに畳みつつある。COOKは値を落としながらも取引され続けているし、mETH自体も普段通り動いている。何かが終わったわけではなく、ただ話題に上らなくなっただけだ。派手に失敗したというニュースが出るわけでもなく、大半の人はそもそも気にも留めていない。Web3のプロジェクトが注目を失っていく過程は、たいていこうやって誰にも気づかれずに進んでいく。たまに振り返ってみないと、自分が何を保有していたのかさえ忘れてしまう。
私が買ったCOOKは1/10以下になっている。cmETHの方は、変なコントラクトを踏んでとうの昔に手元から消えた。